ひょっこりと時間が出来たので神崎順さんが出演しておられる新歌舞伎座の松井誠さん公演へ急行してきました。当日券で入ったのですが、その付近は歌舞伎で言うなら大向こうさんたちの定位置だったらしく、幕間には前列のお母さん達も交えた、コアなファンの方のレクチャーつき特別席となりました
。聞けば男性ファンにとって松井さんの最大の魅力はやはり「殺陣」なのだそうです。見渡すと客席には歌舞伎なんかよりずっとたくさんの男性客。観劇に行くと一瞬男子禁制かと思うような客席であることが少なくありませんが、殺陣がいいとこんなに男の人が集まるんですね〜。いや〜びっくりしました。
現中村勘三郎さんも「歌舞伎を男に見て欲しい」と語っておられたくらい、客席というところはとても男性が少ない空間です。集客の点で、最初からターゲットが半分しかないようなものなんですよね。比較的新しい世代に客層のある新感線が殺陣をフューチャーしていることは、日本の観客/劇場を将来的に変化させることになるかもしれません
なんて思っていると二部のレビューショーでは純白の衣装に身を包んだ、この世のものとは思えないくらい綺麗な神崎順さんが。歌声も素晴らしいわ、青山航士さんが以前着た衣装もあるわで幸せな幻覚に襲われます。でも、あんまり綺麗なので私も松井さんファンの方も思わずきちんと座りなおしてしまうくらい女性として反省を促されましたね〜
。そしてとどめはヨーロッパの近衛兵調の衣装。これをまとった神崎さんが登場された瞬間、溜息交じりの「オスカルや〜
」と言う声が三方向ぐらいから飛んできました。神崎さんって観客の目の前にパーッと夢を広げて見せることの出来る方なんだと思い知ります
。そのほかにも女性による殺陣や歌舞伎の八百屋お七のパロディ(思い切り受けてしまった)やら、テンコ盛りなメニューで満腹状態。FM802のBINTAN GARDENで『五右衛門ロック』を「幕の内弁当のような」と表現されていましたが、歌舞伎も色んな芝居や舞踊のいいところだけかき集めて上演しますし、ひょっとして「幕の内」が日本のエンターテインメントの伝統なのかもしれません。
新宿コマよりは先になりますが、この新歌舞伎座も閉館し、上本町に移転するそうです。最近の劇場はどこもマナーがいいし、それはそれで素晴らしいけれど、今回の三階席の前のめり公認・掛け声頻発・お父さん達盛り上がり放題のにぎやかで雑多な雰囲気、好きですね〜。新感線には是非こんな空気も受け継いでいって欲しいものです。大阪公演の三階席も男性客で盛り上がると面白いんだけど