『ミー&マイガール』ブロードウェイ版は87年トニー賞三部門を受賞しましたが、その内訳は主演男優賞、主演女優賞そして振付賞。やはりかつてヨーロッパで一世を風靡した「ランベスウォーク」の威力でしょうか。ちなみに他の部門は『レ・ミゼラブル』が押さえたようですね。
振付を担当したのはGillian Gregoryという女性ですが、青山航士さんのファンというか、このブログのこれまでの話題ととても関わりの深い人でした
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それまで舞台よりも映像作品の振付で活躍していた人で、1975年は映画"The Who's Tommy", 76年にはトミーのパロディ"Pommy"で触れたエリック・アイドルによる"Rutland Weekend Television"を振付し、出演もしています。ミュージカルファンの方には「エリック? 誰それ?」かもしれませんが、ニューヨークを沸かせている『モンティパイソン』は、彼がメンバーだった同名の異能集団の作品が原作です。その他にも77年にはバレエ界の永遠の大スター、ルドルフ・ヌレエフ主演の映画『ヴァレンティノ』、79年には再度The Whoの映画『四重人格』の振付も手掛けていますね。『スターウォーズ エピソード6』、ジョディ・フォスターが出演した平均年齢12才のNYちびっこギャングミュージカル映画『ダウンタウン物語』もこの人の振付だそうです。また、『ミー&マイガール』の成功を受けてか、02年には英ロイヤルフェスティバルホールのミュージカル『ピーター・パン』を振り付け・・・と大活躍です。
結果としてはトニー賞まで取って「大英断」ということになりましたが、ブロードウェイに打って出る、という時に映像関係の人を起用するってかなり大胆な決断ですよね。アメリカと映画産業の在り方をにらんでのことなんでしょうか。・・・そう思うと日本ってどんな市場なんでしょう。ワタシ的にはやっぱり観客にも関係者の方々にも、もっとダンスを愛してほしいんですが・・・。客席降りがある『ミー&マイガール』、日本版もトニー賞に迫る勢いで客席を沸かせてほしいな〜〜。