映画『スーザンを探して』(85)は、アメリカを代表する大スターのマドンナが出演していることで今も名前を残している感がありますが、企画の段階では駆け出しだった彼女が最終的に選ばれたのは、スーザン・シーデルマン監督の「新人起用」の方針と500万ドル以下という予算の都合だったそうです。ほかにエレン・バーキン、ゴールディ・ホーンらが候補にあがり、スザンヌ・ヴェガもオーディションを受けたそうですが、現在の彼女たちとマドンナを比較すると、シーデルマンに見る目と運があったということでしょうか。
また、心理的はては人格的な変化を演じなくてはいけない舞台のロバータ役って難しそう、と以前にも書きましたが、映画版のロバータ役に当初はなんとダイアン・キートンが予定されていたそう。予算的に難しく流れたようですが、D.キートンのロバータなら、映画版よりもロンドン版よりも東京版の保坂さんが感覚的に近いですね。案外この東京版がもともとの作品に忠実なものになりそうな気がします。
意外なのが映画のロバータ役ロザンナ・アークェットはスーザン役を希望していたとかで、プロデューサーからロバータ役をオファーされた時は驚いたそうです。ま、確かにロンドン版のスーザンと彼女はそんなに違うタイプではないですし、大柄でたくましい女性の多い欧米の感覚だと「女性があこがれる女性」が、いわゆる「女性らしい」タイプを指すこともよくありますが・・・。ん〜、でもマドンナの個性の強さや、真琴つばささんのカッコよさを見てしまうと彼女ではちょっと「違う」感があります。そういう意味ではフェミニンさと元男役スターのたたずまいがミックスした香寿たつきさんは欧米と日本の感覚を両方あわせたキャラクターかもしれませんね。R.アークエットはその後『グランブルー』『パルプフィクション』など話題作に出演、02年には監督もしています。
また、ブルース・ウィリスがスーザンのボーイフレンド・ジェイ役のオーディションを受けたそうですが、これは見てみたかったですね
。彼は88年の『ダイ・ハード』で押しも押されぬハリウッドスターになりますが、マドンナといい、この映画、出世魚のプリ養殖場みたい。「こいつぁ春から縁起がいい
」という舞台になりそうです。