第一幕の6曲め、ラリッシュがマリーに男性を誘惑する術を伝授(?)する場面ですが、ここで青山航士さんが演じているのは、着飾った女性客たちに詰め寄られ圧倒されるショップボーイ。このナンバーの青山さんは、カチッとした形のあるダンスではないのですが、コミカルで軽妙な動きでミュージカルならではの楽しみをたっぷり味わわせてくれます。オペラでもコンサートでもダンス公演でも見られない、体全部を使った「演技」によるこんなシーンに、私なんかはミュージカルの魅力を感じるんですけど、皆さんいかがでしょうか。
以前、映画『雨に唄えば』のドナルド・オコナーの"Mak'em Laugh"みたいなシーンを青山さんがやったら・・・なんて書いたことがありますが、床に座ったまま後ずさりする場面なんかいいですよね〜
何気ないようで「後方に進む」というのは思うようにスピードが出ず、普通にやるとモタモタっとするところなのに、スルスルスルッとアニメみたいなスピード。充分な身体能力があってこその動きだと思います。曲が終わった後も、女性客がちょっかいを出してくるのを思い切り背をそらして対応してますが、かなり後方に倒していて腹筋・背筋強いですよね〜
一瞬『ウエストサイドストーリー』の"I Feel Pretty"を思い出すようなフレーズもあり、とにかく楽しいシーンでした。
青山さんを見ているとフレッド・アステアやジーン・ケリー、ドナルド・オコナーといった、踊るミュージカルスターの姿がどうしてもダブります。彼らの残したような作品が、あまり日本で追求されていないように感じるのは私だけではないと思うのですが・・・。「青山さんと誰それが似ている」とかいうことではなく、今回のこのシーンを観て、はじけるような肢体で音楽を奏でるパフォーマーがもう日本にいることを改めて確認しました。この『ルドルフ RUDOLF The Last Kiss』という作品、当初思っていたよりはダンスが多かったのですが、女性アンサンブルもパンフレットを見るとかなり踊れそうな方たち。ダンスファンの目には「もったいない」感がどうしても残りますね〜。うう〜む、皆ダンスってもっと見たくないのかな〜